[nekodemo]柿喰う客「いきなりベッドシーン」をぜひ高校演劇で上演して
ちまたで話題の新進劇団、柿喰う客。
ここの作家、中屋敷法仁さんは何を隠そう高校演劇出身である。2003年の高校演劇全国大会で、青森県立三本木高校の「贋作 マクベス」という作品が上演されているが、この脚本こそ中屋敷さんの脚本である。彼は、このとき最優秀創作脚本賞を受賞している。
当時、中屋敷さんは高校を既に卒業したOBだったのだが(高校演劇の大会運営の仕組み上、地区大会時には現役高校生でも、全国大会進出時には既にOBになってしまうという弊害があるのだ。)、彼は創作脚本賞を受賞するわなんだで、OBなのになぜか目立っていた。
そしてあれから数年。
気づけば、東京で演劇活動をはじめた中屋敷法仁さんはめきめきと頭角をあらわし、最近の小劇場界でも注目の的となりはじめた。
あのときの脚本「贋作 マクベス」は、晩成書房の高校演劇Selection2004上に収録されており、最近でもいくつかの高校演劇部でも上演されている。
まじめなんだかチープなんだかよくわからないキレている脚本なので、贋作マクベスを演じるのもなかなか良いのだが、最近 中屋敷さんが世に送り出した脚本が、これまた高校演劇向きなのでぜひ紹介したい。
その脚本の名は、「いきなりベッドシーン」である。
今月、東京は王子小劇場で上演され、そして明日には大阪インディペンデントシアター1ndでの1回だけの上演が控えている。
私は王子小劇場に見に行ったが、これぞ高校演劇で上演すべき!と心から思った。
ネタばれになるので詳しくは書かないが、これはある種の学園もの(?)で、高校生の等身大のリアルさをうまく描いている脚本だ。私が王子小劇場で見た回のアフタートークで中屋敷さんが語っていたが、これは中屋敷さんが高校生時代に既に、自分の体験をもとにプロットを組み立てていたらしい。彼はもう高校生ではないが、高校生時分の体験をもとに作られている分、虚構の「舞台」ながらも真に迫るものがある。
高校演劇でも等身大の高校生を描いた学園ものはよく上演されるが、こういう描き方はなかなか見ないので、とても斬新だ。(私はこれでも、高校演劇の作品は地区大会から全国大会まで数百本見ている。)
なによりこれが高校演劇向きだと思ったのは、現実的な理由としての高校演劇部の実情にとてもよく合っているからだ。
高校演劇部の特性として、脚本を選ぶ際に以下のような制約が発生することが多い。
- 能力がないので脚本を自分たちで書けない。だから既成台本を探さないといけない。
- しかし部員数が少ないので、少人数で上演できる台本が欲しい。
- さらに、数少ない部員の中でも男子がさらに少ないので、できれば女子で完結できる台本が欲しい。
- さらにさらに、高校演劇は60分以内で上演するというルールがあるので、それに合った台本が欲しい。(プロの既成台本はたいてい上演時間が2時間ぐらいなので演じにくい。)
- 内容的には、身の丈に合った学園ものだと上演しやすい。
以上の制約をみごとすべて解決できるのが、「いきなりベッドシーン」である。
- 一人芝居なので一人で上演できる
- 主人公は女性なので女子だけで上演できる
- テキストレジすることなく60分以内できっと上演できる
- 身の丈にあった学園もの
どうだろうこのすばらしさ!
高校演劇での一人芝居というと、2006年の全国大会で最優秀賞を受賞した同志社高校演劇部の「ひととせ」が記憶に新しい。これも学園もので女子高生の一人芝居だった。
いきなりベッドシーンの内容や描き方は、ひととせとは全然違うけれど、ぜひぜひこれを上演する高校演劇部が出てくることを願ってやまない。
いきなりベッドシーンの脚本は、柿喰う客の公演に行けば買える、と思う。
あるいはどっかの雑誌に掲載してくれればいいんだけど、「演劇と教育」では教育的に云々とかで無理そうだしどっか載せないかなぁ……?
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